カルチャー偏愛記

歌うま芸人【歌は世につれ、世は歌につれ、素晴らしき芸人楽曲】

”芸人ソング”なんて基本ノベルティソングだから、特段前のめりで聴く人はいないかもしれません。

しかし!

そんな先入観を捨てて聴いてみて欲しい。

歌っているのは本業ではない芸人でも、作っているのはバリバリのプロ。
しかも一線級の方々なのでサウンドは本格的。

というわけで、素晴らしい芸人楽曲を紹介します。
ここには挙げていない楽曲も数多くあるので、ぜひこれをきっかけに素晴らしき芸人楽曲を聴いてみてください。

野猿 feat.CA「First impression」

赤玉事件(前作「夜空を待ちながら」発売の際、オリコン1位にならなかった場合は、順位によってメンバーが脱退になると発表。
結果6位だったため、抽選によりメインボーカルのテルとカンが抜けるもCAの要望により復帰)によってCAをボーカルに迎えたシングル作「First impression」は野猿史上最高のヒット作になった。

当時MISIAの台頭でJPOPにもR&Bサウンドがリスナーに受け入れられてきたなか、積極的に取り入れ、アーバンなサウンドに。

透明感のあるボーカルCAによってマジックが懸けられ、そのCAを優しく見守るような抑えた既存ボーカルの4人。

そして大人なサウンドに合わせたダンサー。

もう最高!

この作品に収録されているC/W「泳げない魚」「TODAY」はアルバムに収録されていないが隠れた名曲。

ブルージーなラテンリズムを取り入れたm2「泳げない魚」はボーカルCAの艶のある声を引き出し、

m3「TODAY」は野猿とCA、作詞作曲の秋元康、後藤次利と「とんねるずのみなさんのおかげでした」の全スタッフによる合唱となっており、楽曲はアンセム的に仕上がっており多幸感溢れている。

どこを切っても最高峰の出来でアルバムに収録されていないのが残念でしかない。

たかしまあきひこ&エレクトリック・シェーバーズ「ヒゲのテーマ」

芸人が歌っている楽曲ではないが、この曲は外せない。

ブラックミュージック好きな志村けんの推薦により
テディ・ペンダーグラス「Do Me」のベースラインを強調したBGMを
全員集合の音楽担当だった、たかしまあきひこが独自に作成。

ヒゲダンスブームに拍車がかかり発売された曲。

全員集合を直撃していない世代でも知られている程インパクトが強く、
宴会芸の代表的アンセムとして長く愛される曲に。

藤井隆「 OH MY JULIET !」

芸人楽曲史上最高の傑作に推したい名盤「ロミオ道行」から続くシティポップ、昭和歌謡曲テイスト路線を踏襲するかと思ったら、
音楽の魔法使いが降臨して二人を引き合わせたに違いないと思わせる程ピッタリなTommy February6をプロデューサーに迎えた、藤井隆どハマりの楽曲!

ダンスミュージックをベースに、どこかシンディーローパー「ハイスクールはダンステリア」のような世界観に近い80年代を想起させる。

藤井隆がブリグリ川瀬智子のメタアイドルとしてのTommy February6を正確な距離感で把握したからこそ生まれたマジックであり、

自身もマシュー南といったメタ的キャラクターを演じていたからかもしれない。

H Jungle with T 「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」

小室サウンドの異色作でありながら、後の芸人ソングやモーニング娘。にも影響を与えた秀逸作。
HEY HEY HEYにて浜田が「僕にもヒット曲プロデュースして下さい」と話した事で生まれた。

当時、耳が早いリスナーには届いていたジャングル的サウンドを取り入れたクオリティの高い作品に仕上がっており、

200万枚のダブルミリオンセールスを果たし芸人楽曲史上最大のヒットソングに。

ノベルティソングという明るさの陰で歌詞の中で

全然 暇にならずに時代が追いかけてくる
走ることから 逃げたくなってる

という、殺人的な忙しさの中でもヒットソングを作り続けなければならない当時の小室哲哉の葛藤が吐露されている。

この年の紅白に出場し、サプライズで「ゲイシャガールズ」の格好をした松本が乱入。

浜田にもゲイシャガールズの扮装をさせるべく、カツラをかぶせ着物を着せようとした。

またH Jungleのヒットを受け、後にごっつええ感じでは珍しいパロディコント「M Jungle」がオンエアされた。

ビートたけし「嘲笑」

殿らしい照れが見え隠れしている私小説的な歌詞の世界観とメロディーメーカー玉置浩二の才気がマッチングされ、
さらに個性的なハスキーな声質が曲にハマり、美しい作品に。

奇を衒わずオーソドックスな楽曲に仕上げる愚直さが素晴らしいです!

あの日 あの頃 ぼくらが昔見た星と
ぼくらが今見る星と なんにも変わりがない
それがうれしい

浅草の星を見上げていた少年は、大人になって様々な星を手にした。

しかし、その手に入れた星は幼い頃に見上げていた星の輝きと変わらない嬉しさを持っていると照れ臭そうに語れるピュアさが殿の魅力かもしれない。

楽曲の良さとは裏腹にセールスに結びついていないのが残念。。

ホント名曲なのになぁ

2丁拳銃「LOVEROCK」

THE BLUE HEARTSの『44口径』の歌詞からというコンビ名の由来から見て取れるロックに対する熱い魂をファーストアルバムで爆発させ、
ハイロウズ甲本ヒロト、森純太、渡邉貢、源まなぶ、H∧Lなど強烈すぎる作家陣に加えメンバーの小堀裕之自身の楽曲までを収めた、

ファーストにてベスト盤的内容の芸人ソング最高級の作品に。

もはや”芸人の楽曲”という枕詞は不要な出来栄え!

アルバム全体にジャパニーズロックのいいフレーバーがかけられていて、

さらに小堀裕之の作詞センスの良さ、芸人の曲なんてという偏見を川谷修士の透明感ある歌声で掻き消す。

特にm7は川谷修士のボーカルのよさが引き出されている優しい楽曲に。

とは言え、収録されている曲に捨て曲なしなので必聴間違いない!